見上げてごらん夜の星を

最終更新: 6月3日

昔話を少々

当時の私の通勤スタイルは

パンツスーツにリュック

足元はスニーカーかブーツが定番

腰までの長さの髪をきちっと束ね

市営バスの後部座席の一つ前の

窓側に座っている

目的地に着いた

さあ背筋はしゃんと伸ばしてね

大股で颯爽と歩く

バスの狭い通路が

レッドカーペットさながら

ほら バスとかって

ほかの乗客にすごく見られたり

することあるじゃない

でも大丈夫

恥ずかしくない

だから気にせず堂々と

運転手さんの横の料金箱まで来たら

お金を入れる

身振り手振りが静かで優雅な動作だと

落ち着きのある

大人の女にしか見えないよネ

「ありがとう」

お金を払いステップを降りる

最後の段で

・・・見事に足を踏み外した

ブーツのかかとがツルっとすべって

一気に道路に着地してしまった

これはこれでウルトラC

手すりを持っていたので

派手に転ぶことはなかったが

一気に消えた感じにはなり

「大丈夫ですか??」

と運転手さん 優しいネ

私ってば頭真っ白・・

驚いて慌てまくりながらも

「捻挫してない・・・!」

足の無事を確認したが

どうもバランスが悪い

あー!!ブーツのかかとがない!!

ボキッと折れてなくなってる!!

ないない、かかとが無い!

右足のかかとが無い!!

あんなに焦ったことはない

バス停にも落ちてない

勢いあまって飛んでいったか?

まさかバスのステップに残したまま・・・

短い間に色んな考えが頭をよぎる

ブロロロロロロ~~

そうこうしてる間に

バスが行ってしまった

私は呆然とバスの後ろ姿を見つめていた

バスが立ち去った後の

道路の真ん中に

黒い小さな物体が横たわっている

かかとだ!!

私は変な走り方で

急ぎかかとをつかみ取り

再会を喜びながらも

バス停に戻ってから

しばらくぼんやりと空を眺めていた

『見上げてごらん~夜の星を~』

(朝やけど・・)

優しい歌になぐさめられる

孤独な女がここに一人

仕方ないので

そのまま会社に行きましたけど

なかなかの痛さでしょ?

っちゅうか

こういう時って

ホント一人って辛い・・

※『見上げてごらん夜の星を』より引用

1960年作詞永六輔氏、作曲いずみたく氏

坂本九さんの優しい歌声がたまらない